マンスリーマンションを借りるのに消費税はかかる?課税対象になるケースは?

ビジネスからプライベートまで幅広く活用できるマンスリーマンションですが、利用のときに消費税はかかるのでしょうか。

実は利用するときの条件によって消費税の取り扱いは変わります。

この記事では、マンスリーマンションを借りるときに消費税はかかるのか、また課税対象になるケースやその他注意点などをご紹介いたします。

マンスリーマンションの利用に消費税はかかる?

2019年10月から消費税率が10%に引き上げられました。

マンスリーマンションの利用者の中にも増税の影響を懸念する人も多いのではないでしょうか。

マンスリーマンションの利用時の消費税は、原則としてかかりません。その点がウィークリーマンションとは違います。その理由を解説します。

 

1カ月を超える場合、「住宅の貸付け」として非課税になる

マンスリーマンションの利用で、非課税となる重要なポイントは国税庁の定める「住宅の貸付け」が適用されることです。「住宅の貸付け」とは、住むことを目的として利用することを意味します。

国税庁が所管する法律「消費税法」には、課税の対象としてなじまないものや社会政策的配慮から、非課税とする取引項目が定められています。その中に「住宅の貸付け」も含まれ、原則非課税です。

戸建てやマンション、アパートなど賃貸住宅は「住宅の貸付け」の扱いのため、その家賃に課税されることはありません。マンスリーマンションも同様に住むことを目的とする「住宅の貸付け」が適用されることから非課税になるわけです。

しかしウィークリーマンションは扱いが異なり、「住宅の貸付け」が適用されません。ウィークリーマンションは「生活の本拠を有さないことを原則」としているとされ、旅館業とみなされるからです(「旅館業に関する規制について」厚生労働省平成28年10月24日)。そして、そのキーワードが「1カ月」なのです。

 

マンスリーマンションが消費税の課税対象になるケース

マンスリーマンションは原則非課税ですが、その対象から除外される場合があります。

具体的には、利用期間が1カ月未満の場合です。

利用期間が1カ月未満の場合はなぜ課税対象となるのか、その理由を解説したいと思います。

1カ月未満の場合、「一時使用」として課税対象になる

「消費税法」の「住宅の貸付けの範囲」にある規定には、

①貸付けに係る契約において人の居住の用に供することが明らかにされているものに限る

②次に該当する場合は住宅の貸付けから除かれる

・貸付期間が1月未満の場合

・旅館業法に規定する旅館業に係る施設の貸し付けに該当する場合

と記されています。

まず①ですが、マンスリーマンションは「居住」が原則なのは当然です。契約書に「居住用である」ことが明記されているはずです。

問題は②で、貸付期間が1月未満だと「一時的に使用させる場合」(消費税法別表第一第十三)とみなされ、課税対象になります。

この利用期間の設定が「住宅の貸付け」が適用されるかどうかの重要な基準です。利用期間が1カ月未満の場合は「一時使用」、1カ月以上の場合は「居住」と判断が変わります。

そして「居住」としての目的が認められる1カ月以上の利用が明らかとなれば、「住宅の貸付け」が適用され非課税の対象になるわけです。

では「1カ月以上の利用」で契約し、途中解約をするケースはどうなるでしょうか。

一般的にこのケースでは利用期間が1カ月未満となるため、精算時に課税される可能性が高いでしょう。

ただし事業者によっては見解が異なる場合もあるため、個別に確認が必要です。

②の下段の「旅館業法に規定する施設」とは、ホテル、旅館、貸別荘、リゾートマンション、ウィークリーマンションなどが当てはまります。これら施設の利用は、たとえ利用期間が1カ月を超える場合であっても非課税にはならないため注意しておきましょう。

なお、名称は「ウィークリーマンション」となっていても、マンスリーマンションの形態で営業している場合もあるため、物件ごとに確認が必要です。というのもウィークリーマンションでも、事業形態によっては利用期間が1カ月以上の場合は非課税を適用しているケースもあるためです。

この点は独自に判断することは難しく、1カ月以上利用する場合は契約する前に確認しておいたほうがよいでしょう。

「旅館業」と「貸室業」の違いを理解するのはなかなか難しいですが、平成27年11月の厚生労働省の食品安全部生活衛生課長名で出された「旅館業法の遵守の徹底について」を参照すると、清掃やベッドメイキングなどが付随していると「旅館業」の許可が必要になります。

 

まとめ

マンスリーマンションは原則非課税ですが、利用期間が1カ月未満の場合はその対象から除外され消費税がかかります。

1カ月未満の短期間で利用する場合は、消費税の負担を考慮して計画をたてておいたほうがよいかもしれません。

消費税率が10%へ引き上げられたこともあり、利用期間の基準についてはコスト管理の側面からも理解しておきたい内容です。

マンスリーマンションを利用の際は参考にしてください。